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  • よもやよもやだ

    2021-12-12

    「あしたのジョー」以来かもしれない。

    アニメ史上、かつてこれほどまでに、拳を握るほどに熱く、真剣に、その戦いの行方を見守ったことがあったとすれば。

    力石徹と矢吹丈

    かつては、犬猿の仲、ボクシングを通してライバルとなり、決戦後はお互いの健闘を讃えあい、握手しようとするが、そのまま力石は倒れ、帰らぬ人となる。

    二人の間には友情さえ芽生えていたように思えた。

    今回は、果たしてどうなのだろうか。

     

    ドン!

    強い衝撃と共に場の雰囲気が一変してしまう。

    上弦の参-猗窩座の登場である。

    これまでにない緊張感に包まれる。

    善VS悪

    息を呑む戦闘シーンが始まるのだが・・

     

    「俺は炎柱、煉獄杏寿郎だ」と、名前を名乗ったすぐ後、初対面の煉獄さんに対し「杏寿郎」と親しみを込めたようにその名を呼ぶ猗窩座。

    悪の鬼とて、直感的に「好き」と感じた人は多いことだろう。

     

    「鬼にならないなら、殺す」と、戦闘態勢に入る猗窩座であったが、その後、煉獄さんに対する「リスペクト」と取れるようなセリフを連発する。

     

    「死んでくれ杏寿郎、若く強いまま」

    「この素晴らしい反応速度、剣技も失われてゆくのか、杏寿郎」

    「全力を出せ、俺に集中しろ」

    「いい動きだ」

     

    柱VS上弦、初の戦闘シーン

    ここまでは、「互角」なのかと思えた。

    しかし、煉獄さんの息が切れる。

    猗窩座はまだ戦いを楽しんでいるかのようだ。

    上から目線で煉獄さんに語りかける

     

    「鬼になれ、杏寿郎!」

    「俺とどこまでも戦い、高め合おう!」

     

    当然、煉獄さんは応じず、炎の呼吸で攻撃を仕掛ける。

    参ノ型−気炎万象

    「素晴らしい!見事だ」と猗窩座は煉獄さんを称えつつ、

    破壊殺−空式!

     

    一進一退の攻防が続く中、猗窩座は煉獄さんに語りかける。

    「まだ分からないか、攻撃を続けることは死を選ぶことだということが。杏寿郎!」

    猗窩座の拳が煉獄さんの額を掠める。

     

    「ここで殺すには惜しい、まだお前は肉体の全盛期ではない」

    猗窩座の拳が煉獄さんの腹にめり込む。

     

    「一年後、二年後にはさらに技が研磨され精度も上がるだろう」

    猗窩座の拳が日輪刀を押し退けて、煉獄さんの左目を潰す。

    煉獄さんは技を連発する

    参ノ型−気炎万象!

    肆ノ型−盛炎のうねり!

    伍の型−炎虎!

     

    破壊殺−乱式!

    「杏寿郎っ!」愉しげに煉獄さんの名前を呼びながら、猗窩座は拳を繰り出す。

    そして・・

    猗窩座の攻撃は外れ、煉獄さんの攻撃も外れたように見えた。

    が、しかし

    煉獄さんの体から血が滴り落ちる。

     

    「もっと戦おう」

    「死ぬな、杏寿郎」

    満身創痍の煉獄さん。

    猗窩座の言葉は悲し気だ。

     

    「生身を削る思いで戦ったとしても全て無駄なんだよ、杏寿郎・・」

    「お前が俺に喰らわせた素晴らしい斬撃もすでに完治してしまった」

    「だが、お前はどうだ、潰れた左目、砕けた肋骨、傷ついた内臓、もう取り返しがつかない」

     

    猗窩座の言葉はまるで、良き友人、良きライバルに向けて放たれているかのようだ。

     

    静かに息を整える煉獄さん

    そして再び、煉獄さんの炎が燃え上がる!

     

    「杏寿郎、お前・・。」

    煉獄さんの闘志に感動している猗窩座。

    この時点で、我々は鬼である猗窩座を到底憎めない。

     

    炎の呼吸「奥義!」

    煉獄さんの炎がほとばしる

    「ああ、素晴らしい闘気だ。それほどの傷を負いながら、その気迫、その精神力、一部の隙もない構え!」

    この時、この戦いを見ている我々は全員、猗窩座と同じ気持ちであったことだろう。

     

    「心を燃やせ、限界を越えろ、俺は炎柱、煉獄杏寿郎!」

    玖ノ型−煉獄!

    破壊殺、滅式!

     

    首を縦に抉ったかに見えた

    勝ったのか?

     

    猗窩座の右腕が煉獄さんの腹を貫通している。

    この時の猗窩座の表情は無表情である。

    しかしすぐ後、

    「死ぬ!死んでしまうぞ、杏寿郎!」とまた、感情溢れる表情で煉獄さんを心配するのだ。

    猗窩座も本気で戦っていたということである。

     

    「鬼になれ、鬼になると言え!杏寿郎!」

    「お前は、選ばれし強きものなのだ!」

     

    きっと皆、煉獄さんが大好きなはずだ。

    その煉獄さんを猗窩座は絶賛し、「死ぬな」と言い続けている。

    たとえ相手が鬼でも、一度心がシンクロしてしまった以上、我々はその相手を好きになってしまうのは当然のことなのだ。

     

    この後、煉獄さんの日輪刀が猗窩座の首を捉える。

    「信じられない力だ!」

    「俺の右腕が貫通しているんだぞ!」

    ついに、煉獄さんの闘志が猗窩座を圧倒する。

    何度も思った

    負けるのか?

    いや、勝つのか?

    勝てるはずがない

    勝って欲しい!

    生きていて欲しい!

     

    おっと、

    何度見ても、ついつい本気で応援してしまう。

    今回の考察、

    二人は到底友人にはなれないのだろうか。

    二人はライバルとは言えないのだろうか

    もしも猗窩座が鬼じゃなかったら・・

    その答えを導くヒントのようなエピソードが、この先のストーリーの中で待っているのだろうか。

    私の家には原作漫画全巻+公式ファンブックが揃っているが、その先を読むことはしていない。

    それをして、失うものが大きい気がするからだ。

    インターネットのネタバレ記事に注意しつつ、「猗窩座」の再登場を待ち続けることにしよう。終

    唯一、リビングから排除されない私の私物。


    テーマ名 その他

    ページ作成日 2021-12-12







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