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マトリックス~ランチ編
2021-01-25
「不動産営業がどこまでサラリーマンとして主張してよいのか。」
その問題は別にして、一日当たりの予算としての「昼飯問題」は切実である。
これまで私は、自分の日常業務エリアにおける安価な飲食店を発掘し、ランチサイクルを回してきた。
しかし、不況の折、いくつもの飲食店がお店を畳んでしまっていた。
私が発掘してきたお店は大抵、中国を中心とするアジア系の食堂で、居抜き店舗を低予算でリフォームした店構えが多かったように思う。
それらのお店がなくなってしまったことは、感情的にも残念で仕方がなかった。
「チェーン店」も例外ではない。
私一番の御用達、緑区太田窪の「日高屋」が店名を変えてリニューアルオープン。
メニューも一新されてしまった。
格差社会が問題視されて久しい世の中の現状。
旨いラーメンを食べようと思えば、800円はかかる。
毎日の昼飯代としては大いなる予算オーバーである。
しかし、アメリカの都心部では、ラーメン一杯2,000円というレベルの物価指数らしい。
政権交代、新型コロナによる混乱・騒動と同様に欧米の格差は日本の比ではないようだ。
それに比べて私の不満、問題など些末なものである。
言っても私には、
久兵衛屋川口伊刈店(麺と丼のセットが今どきワンコインで食せる)
日高屋武蔵浦和支店(豚骨ラーメン+焼き肉丼=680円)
等々、強い味方がまだまだいてくれる。
不満ばかり言っていては世間に申し訳がたたない。
それでも、今日もランチタイムはやってくる。
午前中の事務仕事が押して、武蔵浦和での食事となる。
「なかう」とか「よしのや」とか「おうしょう」とかいっぱいあるけれど、
「日高屋武蔵浦和店」もあるのだけれど、
食べたいものと値段のマトリックス値がちょうどよいところに落ち着かない。
「中卯」の先の飲食店街を確認して、良い値が出なければ「中卯」で済まそう。
そんな宙ぶらりんな気持ちで「中卯」を通り過ぎる。(注:中卯も好きですよ)
空いていた。(注:普段は空いてないですよ)
そう、私は空いているお店が好きなのだ。
空いているから店が無くなってしまうのだろうか。(中卯は無くなりませんよ)
(本日のランチは中卯で決まりだな)
半ば、決定した心境で、歩いてゆく。
しかしそこで、新たなる境地を見出す努力を怠っていた自分に気が付くことになった。
「新晨美食坊」ランチセット500円
(きた。)
中華系、居抜き系の佇まい
(これや。これを待っていたんや。)
店内の混雑が予測される中、緊張しはじめた私は、なんとなく、「どのランチセットを食すか決定してから入店しよう」とメニュー看板をみつめていた。
その間にも、何人かのお客さんが入店していく。
500円のセットメニューは、「麻婆豆腐セット」、「野菜炒めセット」、「ニラレバセット」、「ニラ玉セット」、「ニラもやしセット」、「青梗菜セット」と、「ニラ」を外すとなると、残りは限られる。
麻婆豆腐に決めて入店。
入り口側に近いテーブル席は満卓。
店内は奥に長いフロアの形になっていた。
奥には、誰も座っていない大きな円卓が見える。
「どこに座ればよいですか。」
助けを求めるように、忙しそうな店員さんに声をかける。
アジア系の外国人の方だ。
「奥にお座りください。」
お店の喧騒のせいか、店員さんのイントネーションのせいか、よく聞き取れなかったのだが、そう聞こえた気がしたので、私はお店の奥へと進んでいった。
入り口側からは見えなかったのだが、右奥にもう一つ大きな円卓が並んでいた。
そして、その円卓には先ほどお店の前で逡巡している私を追い越すように入店された女性が一人で座っている。
(どっちに座ればいいんだああ!?!)
初入店の私には、あまりにも高いハードル。
(メニューだけでも決めておいて良かった)と一抹の安心はさておき、決断を迫られる私。
この直後に団体さんが入ってくることを想定した場合、それは間違いなく女性が座る円卓一択だ。
(指示してくれええー!!誰かああー!!)
困惑と思考を巡らせている間に、次々と別のお客さんが入店してくる。
(む、む、むぅ、)
しかし、私はその時、次々と来店してくるお客さんのグループごとの人数を察知し、
手前側の大きな円卓をまるで、カウンター席であると見立てて(自分に言い聞かせて)着座し、「ぼっちランチ」を遂行したのであった。
藤島住宅 岩原 賢太郎
テーマ名 その他
ページ作成日 2021-01-25