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タクシードライバー
2019-03-09
JR埼京線と武蔵野線の接続駅である「武蔵浦和」駅前のライブタワーというビル内に我が藤島住宅営業部の事務所がある。
1階の店舗と3階の事務所の両方を自社で所有しているということを、入社して間もなく知った時、驚きとともに誇りに思ったものだった。
その他にも多くの不動産を所有し、経営の安定を担保。
自らを「変わらぬ固いイシ」と表現した平成3年バブル崩壊直後の会社プロフィールのフレーズは伊達ではないことを以来、8年間で思い知った。
そうした変わらぬわが社の姿勢は、我々が販売する分譲住宅に良くも悪くも存分に反映され、今日まで埼玉県南に住まう多くの皆様に安心を提供し続けている。
ある日の夕方、私が外回りの仕事を終え、500m程離れた自社駐車場から事務所へ向かって歩いていた時のことでした。
駅のターミナルには何台かのタクシーが乗り場につけておりました。
私は何となしにその光景を眺めながら歩き続けておりました。
運転手さん達は、暇そうにあくびをしていたり、下を向いて何か本でも読んでいるのか、スマホでも見ているのかいろいろでしたが、私は(この仕事も大変なんだろうな)などと特に興味もなく視線を進行方向へと移したのでした。
すると前方から、杖をついた年配の女性が歩いて来るのが見えました。
(ん、歩いている?)よく見るとその女性が持つ杖は、先の方が4本脚になっている特別なもので、後で調べたのですが、4本脚で杖が自立することにより、使用者の身体をより安定して支えることができるもののようで、筋力が弱っている方に適しているとのことでした。
更に見ていると、その女性の歩く速度がものすごく遅い!
1歩とはいかず、半歩、靴の大きさの半分ずつくらいを細かく刻みながら歩を進めておられました。
私は、(大変だなあ)と思いつつ、あまりジロジロ見てはいけないような気がして、また視線をまっすぐ前に戻して歩き続けました。
その次の瞬間のことでした。
「タクシー乗るの!!!?」
「タクシー、乗る?!!!」
怒鳴り声にも近いような男性の大声が後方から襲ってくるようでした。
私は肩を掴まれて強引に振り向かせられたような感覚を味わいながら、振り返りました。
すると、先ほどあくびをしていたタクシーの運転手さんが、運転席に座ったまま、助手席から顔を出さんばかりに身を乗り出して叫んでいるのが見えました。
年配の女性がうなずいたのでしょう、運転手さんは素早くタクシーから降り、女性に駆け寄って行きました。
手荷物を持ってあげて、身体を支えるかのように寄り添って車へ誘導されておられました。
(プロだな。)と、
私は心の中でつぶやいておりました。
足の悪いお客さんが特別なものなのかどうか私には分からない。
「プロとして」というよりは、運転手さんの人間としての優しさにこそ、称賛を送るべきなのかもしれない。
あるいは、優しさとは違う、何かタクシー業特有の決まりごとや慣習のようなものがあるのかも知れない。
ただ私はその時、公衆の面前ではばかることなく咄嗟にあのような行動をとれる運転手さんにリスペクトを感じました。
(仕事とはやはり、一定のやりがいを持って臨むべきであり、そこに使命感のようなものを持つ者と持たぬ者が世に生み出す価値の違いは、今後更に大きな差となって現れることになるのだろう。)などという考えが浮かびましたが、最近読んだ本の受け売りです。
♪タクシー ドライバー 苦労人と見えて
♪私の泣き顔 見て見ぬふり
♪天気予報が今夜もはずれた話と
♪野球の話ばかり 何度も 何度も 繰り返す
by中島みゆき
以上、藤島住宅 岩原 賢太郎
テーマ名 その他
ページ作成日 2019-03-09